特発性正常圧水頭症(とくはつせいせいじょうあつすいとうしょう)

【特発性正常圧水頭症とは?】

脳の中や脊髄の表面を流れる髄液(ずいえき)と呼ばれる水が、脳の中心にある脳室(のうしつ)と呼ばれる場所に過剰にたまって周りの脳を圧迫することにより、歩きにくさ・物忘れ・尿失禁などが起こる病気です。65歳以上の方の50人に1人以上に起こるといわれており、珍しい病気ではありません。
大切なのは、これらの症状は手術により改善する可能性が高いということです。

【特発性正常圧水頭症の症状は?】

①歩きにくさ

突発性正常圧水頭症 (①歩きにくさ)

不安定で、歩幅は小刻み、足を大股に開くような歩き方が特徴です。特に初期には、バランスが悪くなってふらついたり、うまく歩けず歩くスピードが減ったなどで気付かれる場合があります。

②物忘れ

突発性正常圧水頭症 (②物忘れ)

初期には軽い物忘れから始まり、徐々に認知症症状が増え、時間や場所などが分からなくなることがあります。また、表情や反応が鈍くなり、気分の落ち込みがみられることもあります。

③尿失禁

突発性正常圧水頭症 (③尿失禁)
トイレに間に合わず失禁してしまうことがあります。初期には短時間に何度もトイレに行きたくなる頻尿(ひんにょう)の症状だけのこともあります。

特発性正常圧水頭症(iNPH)の症状チェックリスト

症状のタイプ 状態
歩行障害 □ 足が上げづらく、小刻みに少しずつ歩く。
□ 開脚で不安定な歩き方になる。
□ 不意に転倒してしまうことがあり、特に転回するときにふらつきが大きい。
□ 歩くときに、第一歩が出なかったり、床に張り付いたような歩きにくさを覚える。
□ 歩くことができない、または、立つと不安定である。
認知症 □ 最近、物忘れがひどくなった。
□ 意識がなくなり、日ごろ習慣としていることや趣味などをしなくなった。
□ 集中力を維持するのが難しく、ぼーっとしてしまう。
□ 怒りっぽくなった。
尿失禁 □ おしっこの我慢できる時間が非常に短くなった。
□ 頻尿または尿失禁状態である。
その他 □ 表情が乏しくなる。
【特発性正常圧水頭症の検査は?】
特発性正常圧水頭症を診断するには、まずMRIやCT検査を行い、脳室に髄液がたまっているかを確認します。髄液がたまっていて特発性正常圧水頭症が疑われた場合は、腰から注射針を刺し、髄液を約30mlほど抜くタップテストという検査を行います。
タップテストで髄液を抜いたことで症状が改善されれば、特発性正常圧水頭症と診断し、患者様の状態に合わせて数日~1週間程度の短期入院をしていただき、症状の改善をチェックする治療も随時受け付けています。お気軽にご相談ください。

【特発性正常圧水頭症の治療は?】

特発性正常圧水頭症は、手術で症状の改善が期待できます。脳にたまった髄液を、皮膚に埋め込んだ細いチューブを通して腹部に流す「髄液シャント術」という手術を行います。